先日、東畑開人先生の「居るのはつらいよ」を読んで他の作品も気になったので読んでみました。
なにが、人を癒すのか、なぜ、治療になるのか、ということに関して、違った視点で見ると、見えてくるものがガラッと変わる、そんな一冊でした。
この本は「野の医者」という、スピリチュアルや、オーラといった簡単に言えば非科学的な治療を行う人々が、なぜ人を癒すことができるのかということについてを明らかにするために沖縄で行ったフィールドワークを読みやすくまとめた本です。実際の研究報告はこちら。また、野の医者の治療と心理療法を比較することで、臨床心理士である筆者のアイデンティティを見直すというような側面もあったようです。
インタビューや筆者が野の医者に治療を受ける場面が面白おかしく書いてあるため、すっと入ってきました。
この本を読むことで私は始めて、医療人類学という学問を知りました。医療人類学は文化的な側面から医療を見るもののようです。科学的な側面から見る医療は、客観的でどんな治療を行ったら、どうなるといったような、客観的な事実に基づくものだと思います。しかし、文化的な側面から見ると、シャーマンやユタなど、明らかに客観的な事実には基づかないけれども、人に癒しを与えたえる何かがあるのだということに気づかされました。
文化の違いによって「何が病むということか」という解決するべき問題も変わりますし、それによって「何が治療になるか」も違う。
沖縄という日本の中でも少し独特な文化を持つ場所でのフィールドワークだからこそ、わかりやすく描かれていました。
科学から文化と、視点を変えるだけでガラッと変わってきます。一つのものに対してもいろんな見方が出来ればいいなと思いました。
では、また!